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第11章 香港ｰ裏社会という場所

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今日も仁科さんは深夜まで帰って来ない‥
勿論理由は知っているよ、でも毎回毎夜なんて私は聞いていないの。


その間、私は外に出る訳にもいかなく‥‥うんん、この間の事があってから１人で外出はしないようにしてる‥
何度も偶然は無いとは思うけど、また会ってしまったらどうしよう、そう考えると外に出る事すら消極的になってしまった。



「‥‥‥櫻澤‥‥さん‥‥‥」


腕首に身に付けているブレス、その中の櫻澤さんのピアスを見て、久し振りに悲しい気持ち‥‥
考えないようにして来たのに、あの人を見たせいで思い出す櫻澤さんとの記憶。


櫻澤さんが前に進めと言ったからこそ、私は振り返らずにドイツで頑張った、それなのにこんな出逢いなんて‥‥少し辛い。



「イン･ウードゥ‥‥‥」


見た目は似ていても、中身は全く別の人‥
あんな状態で女を口説けるほど、軽薄で節操無しだなんて、悲しいより怒りが込み上げてしまった‥‥‥櫻澤さんだったら、こんな事は絶対にしないって。



「‥‥‥あっ‥‥‥」


仁科さんの気配、帰って来た！
今考えていた事は全て心の隅に追いやって、平常心で仁科さんをお出迎え。


一緒に付いて来たけど、私が出来る事は少ないから。