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契約的束縛・誘惑なる秘密
第23章 香港ー再びの二首龍

急なドイツから始まり、香港、日本、また香港。
その度に事件があり気の抜けない日々。
そもそも気が抜けた仕事では無いとは理解しているが、俺でも息抜きという言葉は欲しくなる。

「……旨いな。
日本ではこう……手軽な食事ばかりだった」
「そりゃスタッフ……男が作る料理なんて簡単なものだし、俺も本郷さんも文句は無かった筈だったんだけど。
美波の料理を食べてから、スタッフのじゃ満足しなくなったんだよ」
「それは俺も同じだ宮野。
あの頃が良かったと今でも思える」
「本郷さんも?
なんかさ、今日に限って日本に居た頃を思い出すんだよ、どうしてかな?」
「宮野もか」
「本郷さんも同じ?」
「あぁ、普段は思わないのに、今日はどうにも思い出す日らしい」

宮野の行動に躊躇いがあったのは、此が理由か。
俺も宮野も思う事は同じだった。あのショーのせいだろうな。

「日本……主催の頃は、こうまで強引なプレイは無かったんだ、考えるさ」
「傷付けるのも、壊すのも禁止、それが当たり前だと思ってたよ。
でもさ今は……」
「客に対応しなければならないのが俺達だが、何処か割り切れん。そう言いたいんだろ?」
「そう、それそれ。
本郷さんは割り切れた?」
「割り切れんな。
久し振りにショーをやって、つくづく日本が懐かしいと思った。
思ったところで元には戻らないというのに」
「戻らない……んだよね。
主催は居ない、分かっているんだけど」
「ずっとこうなんだろうな俺達は。
美波も仁科も同じだろう」

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