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華の王妃
第8章 女官長


王妃の懐妊が明らかになったのはそれから半年後のことで死産してから
1年後のことだった。




いつまで経っても浮かない様子の王妃を王が気晴らしに所轄地の視察に
同行させたのが良かったのだろうか。



王弟が王に代わって管理するその地は王都に近く緑豊かで美しい土地で
王弟の趣味で建てられた異国風の屋敷を王妃は一目で気に入り王の前でも
終始笑みを浮かべていたという。



信頼するユリウスと比較的気心の知れた若い女官だけの供と言うのも
解放感があって良かったのかも知れない。






王妃の懐妊に喜んだ王はあのときの子に違いないと声をたてて破顔する。



「あの時のそなたはいつになく潤い感じやすかった。蜜を滴らせ
俺の子種をまるで搾り取るように受け入れていた。」



卑猥なことを大声で話す王はリンダリアが見たことがないほど機嫌が良い。
まるで子供みたいに無邪気に笑う。



ユリウスの処方する薬の服用を止めた途端すぐに懐妊したことに驚きと
嫌悪を感じてしまうが大切なものを守る為ならば仕方がない。





それに授かった生命に罪は無いのだから。









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