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サイレントエモーショナルサマー
第35章 astuto

どさりと隣に倒れ込んで、熱い身体で私を抱き寄せる。すり寄って汗に濡れた胸元にキスをした。乾きかけていた髪は汗で湿って首筋に張り付く。1本、1本を確かめるようにはがしていく指の感触がこそばゆい。

「…もう1回したいです」
「……でも、藤くん眠たいって顔してる」
「いま…せめぎ合ってます」

言葉通り、眠気と闘っているらしい彼はのそのそと起き上がって、吐き出した欲の残滓でたぷたぷのゴムをゆっくりと外していく。きゅっと結んでゴミ箱に放り込むと、思案顔。これは恐らく横になるかどうかで悩んでいる。

「ちょっと…藤くん、眠いんじゃないの?」
「眠くても触りたい」

仰向けの私を見下ろすように胡坐をかいた彼は眠たい顔のままやわやわと乳房に触れる。こら、と腕に触れると上半身を倒して、かすめるだけのキス。

一緒に寝ようよ。あなたの腕の中で眠りたい。そんな気持ちで腕を広げる。私を抱き寄せながら横になった藤くんの身体は火照りが少し落ち着いていた。

普段の彼を真似て髪を撫でる。眠気に伏せた彼の目元はくすぐったいと言うように少し歪んだ。足元でぐしゃぐしゃになっていたタオルケットを引き寄せてふたりで包まる。

「好きだよ、藤くん」

ひっそりと言った私の声に藤くんの静かな寝息が被さった。聞こえてないか。




でも、それでいい。

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