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イケないキミに白い林檎を
第4章 独占

目元に手を当てるとなぜか涙が頬を伝っていた。


追っても、追っても、届かない。

望んでいるように愛してもらえない。


私の恋愛はさっきの黒猫を追っているようだった。


「なんともないです。ただ……、上手くいかないなって」


「うん……。そうだね……」


「どうして頑張っても思うようにいかないんでしょうかね」


少しずつ積もって大きくなっていた悩み。

誰にも言えなくて苦しかった。

そのせいで我慢していたものが溢れ出す。


「乙羽さんは十分に頑張ってるよ」


「っ……。私は、颯太にもっと愛されたい……」


「……うん」


動くことをせず抱き寄せられたまま時間が過ぎる。

くじけそうになっている自分を包んでくれる優しさに浸っていたくて、ソラ先輩の腕を振りほどきたくなかった。


彼氏がいるから他の男に甘えるのはいけなことだって分かっているのに……。


ひとりでは抑えきれない感情が自分を揺るがそうとする。

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