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第10章 萩原 義隆
菜摘は手早くトマトにフォークを刺してコンロの直火に突っ込み、皮が弾けた所で氷水につけて皮を剥いた。
それを受け取り、適当にカットして一旦は冷蔵庫へ。
あとはレタスを細かくちぎってキュウリをスライサーにかけ、コーヒーを淹れるのが私の仕事だった。ハムとスライスチーズも開封して皿に並べる。
菜摘はパンケーキの生地を作ってホットプレートに流しながら、大きめの玉ねぎを1センチ程の輪切りにして、外側の1枚、リング状のものを2つホットプレートに置いた。
最初のパンケーキが焼け、次の生地を流すタイミングで、火の通ったオニオンリングの中に卵をひとつずつ割り入れる。
なるほど、それでカタチのいい目玉焼きを作るワケか…
パンケーキが焼けたらサラダの乗った皿にセットして、半熟の目玉焼きを乗せ、冷やしたトマトも添えて、ドレッシングをかける。

カフェで食べるような、小洒落た朝食は、男やもめの時代には考えられなかったものだ。

「ホントのエッグベネディクトはポーチドエッグなんだけどね。今日は目玉焼きで代用♪」

菜摘がニコッと笑って皿に盛りつけた。
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