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第10章 萩原 義隆
「菜摘さんには会わせるつもりなかったんだけど、もうバレちゃったから」

と言って、連れて来た女の子は、小柄でとても可愛らしい子だった。少し話しただけで、とても頭の回転の早い利発な子だと感じた。
それを人に感じさせない、柔らかさも併せ持っていた。

菜摘も妹ができたみたい、と楽しそうで。
彼女も菜摘さん、とは呼んでいたがお姉さんみたいだ、といっていた。

私は隆行くんのお父さん、で、菜摘はお姉さん…というのが微妙ではあったが、まぁ、年齢差を思えば致し方ないことだろう…

元々菜摘を隆行の母親のスタンスに置くこと自体無理があるのだし…それは誰も望んでいない。…菜摘自身も。

ともあれ、隆行が私達の離婚のせいで女性不信のような状態にあったことを後から聞いて、少なからずショックを受けた時期もあったが、それを克服できたのは彼女のおかげだと知り、彼女には感謝しか感じなかった。
そして、隆行が結婚したいと思えるような女性に巡り会えたことも嬉しいことだし、私達を反面教師として、いい家庭を築いてくれることを願い、私もまた、過去の轍を踏まないよう、菜摘を大切していこうと再認識した。
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