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第15章 及川 菜摘
お茶も飲まずにああだこうだ言いながら沢山買い物していたら流石に疲れて。

カフェでひと休み。

カフェはセルフスタイルだから、空いた席に荷物を置いて、バッグを持ち、義隆さんと2人でオーダーしに行く。
お茶くらい私が出すから、座っててと言ったのに、義隆さんはいいよ、と一緒に席を立った。

オーダーブースで上に掛かったメニューを見上げ、何を頼むか考えていたら、

「あれ、及川さん?」

声をかけてきたのは、同じ部署の杉山さんで。
杉山さんは彼氏らしき男性と、注文したドリンクをトレイに乗せて立ってた。

「あっ…どうも。」

どこかで見られていても全然おかしくはないんだけど、流石に声を掛けられたのは初めてで。
横をチラッと伺うと、義隆さんは明らかに固まっていた。
義隆さんの、眉毛がピクリと動く。
どうしよう、と思ったけど、ニコッと会釈してスルーした。
お互い1人じゃないんだし、長く話をする必要はないだろう。

会社で噂になるかな…
ま、なるようになるか…

義隆さんも肩を竦めて仕方ない、という仕草をした。

義隆さんはアイスコーヒー、私はアイスティーとケーキのセットをオーダーして。
軽く溜息をついて、トレイを受け取って席に戻る。

杉山さんカップルとは席が離れていたから、周りを見渡しても見知った顔はなくて。開き直ってお茶を飲み、義隆さんにも一口ケーキを食べさせたりしながら、ティータイムを過ごした。
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