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第17章 田嶋 紗栄子
男ばかりのむさ苦しい職場だけど、ほんとにいいの?と聞かれたけど、経理は社長の奥さんが担当してるし、社長と息子さんが2人いるだけだから、男性が何十人もいる中に女1人じゃないし、大丈夫です!と頷いた。

小さい頃から、洋服屋さんになるのが夢だった。
お母さんが洋裁が得意で、子供の頃、よくワンピースやブラウスを作ってくれた。ただの布が、お母さんの手で裁断されて、軽快なリズムを刻むミシンの音とともに洋服の形になっていく。
それはまるで魔法のようで、すごく憧れた。

2年間の専門学校で、洋裁の知識は培ったと思う。
私は、ようやく憧れの魔法を使える箒を手に入れた、新米の魔法使いだ。意気揚々と店のドアを開けると、店内の掃除をしている男性がいた。

「おはようございます!今日からお世話になります、加藤 紗栄子です。宜しくお願いします!」

挨拶すると、床をモップで掃除していた男性が、手を止めて顔を上げた。
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