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第17章 田嶋 紗栄子

「…見事にフラれた…」

「…え？」

「……自営の男は安定しないからヤなんだって。良い人だし、付き合う分には良かったけど、結婚は全然考えてなかった、って言われた…今の仕事好きだし、店を継ぐこと自体には全然抵抗なかったけど…普通のサラリーマンになっときゃ良かったのかぁ…って、ちょっと落ち込んじゃってさ…」

「……そんなの、価値観の違いですよ！今わかってよかったじゃないですか！結婚してからこんなハズじゃなかった、って言われるより良いですよ！」

「……そうなんだけどさ…」

「サラリーマンだって、大手なら安泰でしょうけど、人が沢山いれば人間関係だって複雑だろうし、転勤とか異動とか、大変なこと絶対多いです。中小企業は、潰れるかもしれないし、コスト削減で人減らしたり、減給とかボーナスカットとかするかもしれません。安定が大事なら、公務員と結婚すればいいんです、そんな人！」

なんだか自分がバカにされたみたいで。
腹が立って、鼻息荒く言い切った私を、敬さんはキョトンとして見ていた。