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第20章 北川 遙
出産して約8ヶ月。
産後の体調も戻り、手探りだった育児も少しは落ち着いてきた。

夏前には樹さんのお母さんとお姉さんが遊びに来てくれて。
お姉さんが樹さんの子どもの頃の写真を持ってきて見せてくれた。
子どもなんだけど、かすかに面影の残る小さい樹さんはかわいくて。今からは想像できないお茶目なポーズで写真に写ってた。
樹には内緒よ?こんなのあげたら怒るから。
とお姉さんが薄いアルバムを一冊置いて行ってくれて。
普段はクローゼットに隠したそのアルバムを、昼間こっそりみては大樹の顔にその面影を探すのが今の日課。

お姉さんのセレクトは秀逸で。
赤ちゃんの頃、2、3歳の頃、幼稚園の頃から小学校までが、キレイにまとまってて、もう何度観たか知れない。

大樹は、といえば、離乳食のバリエーションが広がって、色々食べるようにはなってきたんだけど、まだ味付けとかはできないから、味見しても素材そのものの味で、正直美味しいとは思えない。
ここにもう少しお塩を…入れたい気持ちをぐっと堪えて、物足りない離乳食を食べさせると、ビミョーな顔でベェーと吐き出してくる。だよねぇ、美味しくないよねぇ…と同意しながら、母乳と、それだけはパクパク食べてくれるパンがゆに頼る日々だ。
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