この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
うつむきピーターパン
第1章 誘惑
バイト先の居酒屋「ささくれ」の扉をくぐると少し冷たい風が良彦の肌を舐めた。
大阪梅田の東通りは、23時を回っているのに活気にあふれていた。
上司のような人と新入社員の集団、飲み屋のお兄さん、そして客引きの姉ちゃんたちの少し外れたような高い声が耳につく。
水商売の女の子たちはなんでこんなに綺麗なんだろうかといつも思う。
それが男を魅せることに慣れているからなのか、もともとそういう素質を持った子たちが水商売の世界に入っていくんだろうか。
どちらにせよ自分とは生きる世界が違うようにも思われる彼女たちをいつもと同じように眺める。
良彦が通う大学は多少優秀で育ちのいい学生ばかりが集まっている。
それだからこの夜の繁華街で生きているような人たちに少し距離を感じるのかもしれない。
だからといって良彦はそういう人た日を軽蔑してるわけではなかった。
むしろ何か一種の羨望の目をいつも向けている。