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うつむきピーターパン
第2章 肉欲と純愛
じめじめした熱気に身を包まれて、仕方なしに重たい体を起こした。
騒音のような蝉の鳴き声のせいでより一層暑く感じて、思わずエアコンの電源を入れた。
夏休みに入ってからというもの、バイトくらいしかすることもなく、本を読んだりして時間を潰している。
真紀はつい二日前、実家の三重に帰省してしまった。
二週間ほどゆっくり過ごす予定だという。
せっかくの夏休みだから自分もゆっくり過ごそうと思ってバイトを休みにしたが、いざとなるとこれといってすることもなく、なんとつまらない人間だろうかと思う。
ただベットに横たわっていると、夏独特の熱気を帯びた体の奥に、若い性、徐々に大きくなって行く肉欲の塊を感じる。
美咲の家に行った時、まんまと誘惑に負けてしまったことを思い出した。
男は強くあるべきだ。
孤高の狼、そんな理想を良彦は随分前から持っている。
自分という人間を強く持ち、誰にも屈することなく強く社会を生きていきたい。
大学卒業後自分が何をするべきか具体的なことはまだわからないが、そんな漠然とした考えはあった。