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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
   孤独な王子

 小さな少年が泣いていた。彼は周囲から自分を守るかのように両手で小さな身体を抱きしめている。ギュッと眼を固く瞑り、眼に映る何ものをも見まいとするかのように顔を伏せていた。

―ママ、怖い、助けて。

 彼は心の中で叫ぶが、声は声にならない。そうだ、大好きなママは僕を独りぼっちにして逝ってしまったんだ。

 厳然たる動かしようのない事実を改めて思い出し、彼はグスッと洟を啜った。

 次いで、いかめしい声が耳奥に甦る。
―男が泣くものではない。ましてや、お前は一国の皇太子なのだぞ? やがて国を背負って立つ王になる男は幼くとも泣いたりはしないものだ。
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