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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
 声を限りに叫べども、言葉にはならない。


 もどかしさが余計に彼の心を追いつめる。

 彼は恐る恐る眼を開き、周囲を見回した。一面を暗闇が覆い尽くしている。まるで幾億もの夜を集めたような闇は際限もなく続いているようで、見つめているだけで闇に飲み込まれてしまいそうな恐怖に囚われる。

―ママ、ママ、怖いよ。

 王子はまた眼を瞑り、泣きじゃくった。

 と、前方に異様な気配を感じて、彼は眼をうっすらと開けた。深い闇が人の形を取り始めている?
 王子の前で真っ黒な闇はたちまち巨大なモンスターのように大きく膨れ上がった。

―人じゃない。
 そう思った瞬間、王子の喉からヒュッと息が洩れた。
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