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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
 自分の顔がそこまで知られているはずはないと思うのだが。それに、こんな平凡な顔はどこにでもあるだろう。トーマスは自分がそこそこいない美形なのを自覚できていないから、とんでもない思い違いをしている。


「あ、ごめんなさい」

 少女が謝った。


「気を悪くしたかしら」


「いや」

 彼は短く応え、続けた。


「どうして王子さまだと思ったんだい?」


「その瞳と髪の色よ」

「瞳と髪の色―。確かに、この国ではあまり一般的ではないけど」

「とても綺麗。黄金のような髪と湖のような深い蒼の瞳を持つ王子さまが童話に出てきたのよ。子どもの頃、母がよく読んでくれたの」
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