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あんなこんなエロ短編集
第18章 一瞬だけでいい

花びらを擦り、
芽を突いた。
涙は止めどなく流れていく。
忘れたくない。
私を優しく抱いた。
くまなく愛撫した。
同じ朝を共有した。
約束を交わし、同じものを食べた………
しかし、彼が選んだのはえらく若い女性だった。
年齢ではない。
そんなことが〈決め手〉にならないことくらい
わかる。
容姿でもないし、
経歴でもない。
決め手になるのは、
もっと感覚的なことだ。
私はそれを感じていたけど、
彼は違っていただけ。
一瞬だけでよかった。
一瞬だけ彼の目に映りたかった。
だから目立つ格好で目立つ車に乗った。
悪あがきをしたかったんだ。
いくら弄っても快楽の波は訪れず、
流れるのは涙だけ。
鏡に半裸で泣いている私の姿が映っている。
親友・美苗の旦那が車の販売店に勤務しており、
安く譲ってくれた外車。
本当はボロい中古である。
「……うえっ、ふえっ、
うう~~~……………」
泣けばいい。
情けなさにどっぷり沈んだら、
前を向けるかもしれないから。
私は花びらをこすりながら泣き続けた。
〈終わり〉
芽を突いた。
涙は止めどなく流れていく。
忘れたくない。
私を優しく抱いた。
くまなく愛撫した。
同じ朝を共有した。
約束を交わし、同じものを食べた………
しかし、彼が選んだのはえらく若い女性だった。
年齢ではない。
そんなことが〈決め手〉にならないことくらい
わかる。
容姿でもないし、
経歴でもない。
決め手になるのは、
もっと感覚的なことだ。
私はそれを感じていたけど、
彼は違っていただけ。
一瞬だけでよかった。
一瞬だけ彼の目に映りたかった。
だから目立つ格好で目立つ車に乗った。
悪あがきをしたかったんだ。
いくら弄っても快楽の波は訪れず、
流れるのは涙だけ。
鏡に半裸で泣いている私の姿が映っている。
親友・美苗の旦那が車の販売店に勤務しており、
安く譲ってくれた外車。
本当はボロい中古である。
「……うえっ、ふえっ、
うう~~~……………」
泣けばいい。
情けなさにどっぷり沈んだら、
前を向けるかもしれないから。
私は花びらをこすりながら泣き続けた。
〈終わり〉

