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あんなこんなエロ短編集
第29章 鋼ーはがねー
ーーー自分がどう見られているかくらい分かっている。


いや、どう見られているかというより皆興味はないと



思う。



カタカタカタカタ



指先を動かしデータ入力に集中する。



周辺からも同じ音と少しの息遣いが聴こえた。



某企業でのデータ入力。



9時~17時



日祝休み



これが私の仕事だ。



部屋には女ばかり20名ほど。



難しくはない、紙に記載してある数字をひたすら



打ち込んでいくだけ。



手を止めてずり落ちてきたメガネを直す。



ーーー「失礼します。皆さん、休憩にこれ食べてください」



突然ドアが開き、



上背がある男が顔を出した。




皆手を止め入り口を見る。




他の女たちの瞳がいきなり輝く。



上背がある男はこの企業の社員で、



派遣たちの世話を担当している飯島(いいじま)。



30歳独身。



「いいんですかぁ、ありがとうございます!」
「いただきますねっ」



黄色い声が上がる。



飯島の手には和菓子らしき箱があった。



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