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性用占精術 秘密のセックス鑑定
第10章 カプリコーンの女 伝統の章
 休日を山で過ごすには感傷的になりすぎる。
久しぶりに街をぶらつき書店を覗いた。
 最新の天文歴を購入する。パソコンがあるので、それでことが足りることは足りるのだがやはりこういうものは紙媒体に限ると思い、満足して書店を出た。


 寂れかけた商店街だが、市から支援された新店舗もちらほらとあった。
主におしゃれなカフェと雑貨店だ。
 明るい色合いやショーウィンドウに並べられたペアのマグカップを眺めることは、今の僕にとって辛い。

 視線をずらし、ふと道のわきに目をやると、イーゼルにのせられた見慣れない文字が書かれた茶色い看板が視界に入った。――梵字?

 不思議な気分で引き寄せられるように細い道を入り込み、店の前に着くと甘いお香の香りが鼻腔をくすぐった。

 店構えは簡素で、空いた店舗を何もいじらずにそのまま使っているようなアルミサッシの安っぽい引き戸は、何の店なのかまったく想像させない。
 電気はついているようだが営業しているのかさえ分からない。
しかし香りに導かれるように引き戸に手を伸ばし、僕は店の中に足を一歩入れていた。
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