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光芒の射す土
第1章 焦土村
プロローグ

紫色の空に、黒煙が上がった日。
僕の村は滅んだ。
一日で全てを無くした村には炭化した人型のゴミがいくつも転がっていて、それらは赤黒い血溜まりに浸かっていた。

僕の家は全て燃え尽くされていて、死体すら転がっていなかった。
家族はもちろん、この地には生きている人間がいない。
僕一人なんかが大声で叫んでもその声に応えてくれる人間がいない。

この村は美しいアルプスの山間にある小さな村で、自然豊かな場所で有名だった。
僕の先祖が代々守り続けてきた美しい湖、『水湖』は日本三大絶景にも選ばれるほど、透き通った水面が綺麗で崇められていた。

しかし、今は人型炭がいくつも浸かっていて、赤と黒の間の色をしている。
きっと、あの中に愛しい人が居るのだろう。
僕の家族も、キミも、キミの家族も。

すれば後悔の念がこみ上げてきて、こんな地獄絵図のような現実の中、唯一生き延びてしまった自分の存在が賤しくなる。

脱力した僕は輝いていたはずの湖を見ながらゆっくり土に体を委ねた。
足裏の汗と踏んできた血が混じり、鉄錆の匂いが増して、嘔吐する。
吐けば必死に呼吸して、過呼吸になって頭に血液が回らなくなって、生暖かいこの土に僕も還れたらいいのにな、と思う。


朦朧とする意識の中、瞳を閉じる寸前に僕は一線の光を浴びていた。
雲の隙間から見えるその光に照らされると眠気が増して、どんどん錆の匂いも汚れた湖も消えていった。

今思えば幻覚だったのだろう。
優しい声で僕の名前を呼ぶ母が瞳に映った瞬間、僕は今ある現実を脳の奥底へ完全に閉じ込めた。
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