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第22章 償い

『リョウキ・・・

～そゆとこは…変わってないねぇ

心配してくれるんだァ？』





ベタつくような猫なで声が耳に障る

うっとおしくてたまらない






『オマエのじゃない。…腹の子の……な』



『…～』







『妊娠してるって…？』



『……』






『・・・オレの子だって？』



『……』








『レナ・・・』




『ﾌﾌ・・・ﾌﾌﾌっ』



答えずに
お腹周りの隠れるワンピースを
フワフワと揺らして
下品な笑みを浮かべるレナ



『♪～リョウキ？…
今日はゆっくりしようよ
久しぶりだもん・・・」



『・・・』




『抱いてよ・・・？
ずっと、会いたかったんだから

あたしは別れたくなかった
あんな一方的で…さみしかったんだからね』




レナがオレに腕を絡ませる

下品な香水のニオイと
腕がオレにまとわりつく

吐きそうだ



『…バカも大概にしろよ』

『いいじゃない…
～これからやり直すんでしょ？あたし達』



『…レナ、オレは』

『ﾌﾌ……』



『レナ…真面目な、大事な話だろう？
今後の事を話しに来たんだ

お前の望みはなんだ？言ってくれ
お前の、望むようにする・・・』





『…ホントどうしちゃったんだか
雨でも降らす気？

あんたなら精々
〃本当にオレの子か？〃

が、イイトコかなぁと思ったけど？』



『…』


『ふぅ～ん…

それが〃償い〃です

ってワケね？』



『…レナ。お前はどうしたいんだ？
オレに…どうして欲しいんだよ？』



『ﾌﾌ…リョウキがいてくれればいいよ
リョウキが側にいてくれれば

〃一緒にいられるなら〃それで
なぁんにもいらない』



『…。…』


レナの両腕がオレの腰に絡み付く



不思議だな

同じ言葉でも…
例えば全く同じセリフでも

それを放つ人間によって
こうも違うものか

目の前の女の言葉には…
自分でも驚く程、何も感じない

中味のない…安っぽいコトバ…


何も感じない…

いや、不快感くらいは感じてるだろうか？


『それだけでいいの…
あたしはリョーキが本気で好きだった』


『……』

何も・・・感じない


『だからそれだけでいい。 ……ただし』




レナの声のトーンと表情が急に変わった


『…？』