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Best name
第32章 最高の名前
『っっ・・・・・・!』






『アヤメさんっっ・・・!?』





『!?』


〃な・・・・・に・・・!?〃






オレの目の前を

振り袖の華やかなソデが

舞うようにスローモーションに揺れる。






家中に・・・・・響き渡るほどの大きな音





反射的に立ち上がり

声を上げたソウタさん。






ドサッ・・・・・。







オレが瞬きしてもう一度みる

その先には

アイルが床に倒れ込んでいた。





殴られた頬を・・・押さえて。













『どうしてお母さんの言う事が

聞けないのっ・・・!?』









立ち上がってアイルを殴り

眉を吊り上げて・・・怒鳴りつける





その表情(カオ)は





もはや

アイルとは似ても似つかない





…まさに

〃鬼の形相〃

そのものだった。





時も場も選ばず…






なんというか・・・これは、もう




ヒステリック・・・・・・・・?








『アヤメさんっ!!

何してるんです・・・!?

どうかしてますよっ!!』








『部外者は黙ってなさいって

言ったでしょう・・・!!!』








『ママ・・・おかぁさん…やめて。

ごめんなさい・・・ごめんなさいっ…』






着物が重いのか

上手く動けないアイルが

這うようにして母親を止めていた。





怯えた目をして・・・。





『ここまで言わないと
わからないなんてっ…

どこまでアタマの悪い子なのかしら!?
アンタ一体誰に似たのよっ!!?

アイルっ・・・分をわきまえなさい!
アンタはフツーの子じゃないの!!!

親の言うことも聞かず
獣医になるなんて言って

役に立たないばかりか
挙げ句にあんな…っ

表を歩けなくなるようなことをして!
アンタはどれだけ親に…っ

私の顔に
泥をぬれば気が済むのよっっ!!!?』






『おかぁさん…っ

ごめんなさい・・・

ごめんなさい…っ

ゆるして…ごめんなさい・・・っ』








もう

とんだ修羅場だった……。
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