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第9章 水仙の妖精

　　　水仙の妖精

　少し離れた前方で、ワァーっと歓声が響き渡った。華仙(ファソン)はその人声に思わず耳をそばだてずにはいられない。更にまたドッとどよめきが風に乗って流れてきて、彼女はもう堪らず走り出していた。





　好奇心をここまで刺激されて、じっとしていられるはずがない。良人が見ればまた〝王妃らしくない〟と眉を顰めることだろうけれど、ここは市井の下町、生憎と王さまの眼は届かない。