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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第28章 ブラジリアン柔術を使うマフィア
その頃、日本の裏側にあたる場所、ブラジルのリオデジャネイロにあるブラジリアン柔術の道場では、
彫りの深いマスクに185センチという長身の男と、上半身に十字架のタトゥーを施した褐色の肌にムダの無い鋼のような身体をした男を相手にスパーリングで汗を流していた。

長身の男は東洋人のような肌の色に黒髪、そして彼の胸に大きく十字架のタトゥーを入れている。

熱のこもったスパーリングで、彼らは道着を身に纏わず、両手にはオープンフィンガーグローブを着用し、寝技、主にポジショニングの取り方から隙を伺い関節を極めるか、マウントポジションからのパウンド(グランド状態からのパンチ)でタップさせるか、せめぎあっていた。

東洋人の方は、下になり、褐色の肌の男が上になり、パウンドを振り下ろそうとするが、東洋人は上手くガードポジションで下からの攻撃を狙っていた。

パウンドを両腕でブロックし、一瞬の隙をついて相手の右腕を取り、両足を下から絡み付くように褐色の肌の男の首を締めた。

いわゆる下からの三角締めというブラジリアン柔術特有の技で頸動脈を締め上げ、褐色の肌の男は堪らずタップした。

東洋人はすぐに技を解き、タオルで汗を拭きながら再び道着を着て黒帯を締めた。


「Ataque mais rapidamente! (もっと速く攻撃しろ!)」

ポルトガル語を操る東洋人は褐色の肌の男に厳しくアドバイスした。

「Bem, você não pode ganhar o jogo! (そんなんじゃ試合に勝てないぞ!)」

どうやらこの東洋人は道着でのコーチ的存在みたいだ。

「Ok, Tatsuya(分かったよ、達也)」

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