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遠い日の約束。
第19章 後始末
「何か言うことはないのか?」

一言も話さない篠原に聞くと、篠原は小さな…とても小さな声で華の安否を聞いてきた。

「ぎりぎりの所で助け出したさ。じゃなければこんな冷静に話してはいない。けどな。意識は戻っていない。いつ戻るか分からないとも言われてる…一生目を覚まさなかったらどうする?人一人の人生を台無しにして、平気でいられるのか?」

冷たく言い放つと、今まで何もしなかった篠原が声を出して泣き出した。
何度も「ごめんなさい」を繰り返し、しゃくりあげながら泣いたていた。
それを俺は黙って見ていた。
手を差し伸べるでもなく、ただ冷たい視線だけを向けて…
どのくらい時間がったのか。
篠原の携帯の音が鳴りひびいた。
出る余裕のない篠原は携帯に手を伸ばそうとはしない。
ちらりと画面を見れば『パパ』と出ていた。
篠原の父。
そして篠原グループのトップ…
俺は迷わず携帯を取り、篠原の代わりに電話に出ることにした。

「もしもし」

『誰だ!』

俺が声を出せば、鋭い声が飛んでくる。
それもそうだ。
娘の電話に知らない男が出れば警戒するのは当たり前だ。
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