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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第7章 聖夜
意識を取り戻した暁を、月城は甲斐甲斐しく世話をした。
身体を拭き清め、気付けのワインを口移しで飲ませてくれた。
…しかし服を着ることは許してくれなかった。
暁は裸のまま毛布に包まり、ぱちぱちと燃える暖炉の前で月城に抱かれる。

「…もう…二回も…こんなところで…」
軽く睨む暁の額に愛しげに唇を落とす。
「…申し訳ありません。貴方が欲しくて…止まれませんでした」
「いいけど…別に…」
恥ずかしいから拗ねて見せただけだ。
本当は場所など構わずに、月城に求められることが嬉しくてたまらない。
この冴え冴えとした月の光のように美しい男が、自分を情熱的に欲してくれることが眩暈がするほどに幸せなのだ。

二人で暖炉の火を見ながら、他愛のない話をする。
「…そういえば…今夜は泉くんが途中で見当たらなくなったけれど…どこに行ったのかな?」
「…ああ。どうやら風間様をお迎えに行かれたようですね」
「司くんを?」
意外な気がして、少し驚く。

「風間様がコートも着ないで飛び出して行かれたから…と。
…泉の方が酷く切羽詰まっていた様子でしたが…」
暁は何か考えを巡らし、そっと微笑んだ。
「どうかされましたか?」
月城が覗き込む。
「…ううん。…ただ…もしかしたら泉くんにもようやく遅い春が来たのかな…て思ってね。…嬉しくなっただけ」
暁の答えに月城は端正な眉を上げる。
「…よく分かりませんが…」
暁は月城を向き直り、その首筋に白い腕を絡ませる。
「…分からなくていいよ。…森は僕のことだけを考えていてくれ…」
月城は優しく微笑み、暁を引き寄せる。
「…御意のままに…」
二人の唇が優しく重なる。

…恋人たちの聖夜は静かにゆっくりと更けていくのだった。


聖夜 〜 la fin〜
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