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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第8章 真夜中のお茶をご一緒に
参道の端にある甘味処は古くから初老の夫婦二人でやっているこじんまりとした店だ。
屋敷からほど近いことから、泉も神社に参拝した帰りなどに時々立ち寄ったりしていた。

古い日本家屋の店内を司は興味深げに見回した。
「…すてきなカフェだね」
普段は客も少ない小さな店だが元日ということで、店内は初詣帰りの家族連れや若い女性達の客でなかなかの繁盛ぶりである。
銀鼠のコートを脱いだ司に、若い女性二人組の熱い視線が投げかけられるを泉はどこか誇らしげに見つめていた。
女将が熱い焙じ茶を持って来ながら、陽気に声をかける。
「まあまあ、どこの国の王子様がいらしたかと思ったら…!月城さんのお連れ様ですか」
泉は苦笑いしながらさらりと紹介する。
「お屋敷に滞在中の旦那様のご友人様です。パリからいらしたので日本の神社をご案内していました」
「そうですか。…本当に綺麗な方ですねえ…元日早々、弁天様みたいに綺麗な方を拝見できたら、寿命も延びるってもんですよ」
司は恥ずかしそうに微笑った。

「甘酒二つと…みたらし団子を一皿お願いします」
「はい、ただいま」
泉の注文を聞き、女将が厨房に帰って行ったのを潮に、司が小声で尋ねる。
「…弁天様て、誰?」
泉は思わず吹き出した。
「…日本の古い神様で、美と芸術を司る女神様ですよ」
司は眼を見張り、口を尖らせた。
「…それって、喜んでいいのかなあ」
泉は貌を近づけ、囁いた。
「…司様がとにかく美しいと言いたかったのでしょう。
私も同感です」
白磁のように滑らかな頬が薔薇色に染まる。
「…だから…今日は酷い貌なんだから…もう…」
頬杖をついて、司を見つめる。
「…貴方はどんな時でもお美しいです。…綺麗すぎて、ちょっと戸惑ってます」

司は驚いたように泉を見上げると、やがて俯いて小さく呟いた。
「…やっぱり君はたらしだ…」


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