この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第8章 真夜中のお茶をご一緒に
…愛し合ったばかりの恋人を抱きながら、泉は微睡みの中にいた。
…そろそろ起きなければ…。
この屋敷に司と自分と二人きりとはいえ、自堕落は許されない。
執事の起床は5時と決まっていた。

…真夜中にチャイを飲んだ後に、また激しく濃密に愛し合った。
司は清楚な貌に似ず、色事にとても奔放であった。
その落差に、泉は引き摺られるように愛の営みを繰り返した。
幾度も果て、絡み合うように眠りに就いたのが明け方の頃だ。
…司は泥のように眠っている。
…もう少しだけ、あと少しだけ…
司の甘くすべらかな白い肌に貌を寄せる。
再び微睡みの中に入り込もうとした泉の耳に、その声は聞こえてきた。

「…泉!…泉!…帰ったよ、どこにいるの?」
冷水を浴びせかけられたように眼が覚め、泉は飛び起きた。
「薫様⁉︎」
…まさか?…薫様は箱根にいらっしゃるはずだ…。
まだ目覚め切れぬ頭の中で考えている間にも、特徴ある足音は近づいて来る。
「泉?泉?…まだ起きてないのかなあ…」
泉は取るものもとりあえず、制服の黒のスラックスを履きシャツを羽織る。
ベッドを振り返る。
すやすやと眠る司に頭からブランケットを掛ける。
素早くドアに近づいたと同時にそれは開かれた。
「泉!ただいま!」
満面の笑みの薫が佇んでいた。
「お、お帰りなさいませ。薫様…」
泉はさりげなく部屋の中を隠すように佇んだ。
「あれ?まだ寝てた?ごめんね。…フフ…どうしても泉に会いたくなっちゃってさ、大紋の叔父様が丁度東京にお帰りになるって聞いたから、車に載せてもらってきちゃった…あれ?…入っちゃだめなの?」
部屋の中に入ろうとした薫を柔らかく押しとどめた泉を怪訝そうな貌で見上げる。
「…い、いえ…。部屋が散らかっておりますので…」
薫はなあんだと笑った。
「いいよ、そんなの。気にしない。お土産があるんだ。部屋で開けて…」
脚を踏み入れた薫の貌が一瞬で強張った。

…ベッドの中から寝ぼけた声が響いた。
「…泉?どうしたの?…もう起きるの?」
ブランケットの中から身を起こしたのは、一糸纏わぬ姿の司だった。

…明らかに情事の後を思わせる気怠げな…匂い立つような色気を漂わせた司が、泉のベッドの中にいた。
よく見ると薫の足元には二人の服が散らばっている…。

掠れた震える声が薫の口から発せられた。
「…どうして…司さんが泉のベッドで寝ているの…?」
/954ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ