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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
「月城は超一流の執事だ。執事以外の仕事も見事にこなして伯爵不在の北白川家を以前より繁栄させ、支えている。その手腕は私も脱帽するばかりだ。敬意を払ってもいる。
…だが、彼は私生活での暁を幸せにできているのだろうか?
あんなに熱心な仕事人間では暁が寂しく思って当然だろう。
また、彼の美しさは相変わらず常軌を逸したほどだ。様々な誘惑もあるに違いない。お前も落ち着かない日々を送っているのだろう。
…私は時々思うのだよ。
お前に相応しいひとは他にいたのではないかと…。
私の友人で同性愛者でお前に恋していたものはたくさんいた。
名門貴族出身の者や富裕な資産家も多かった。
彼らの多くは束縛のない外国で悠々と暮らしている。
…暁に、彼らを紹介すればよかったのではないかと時々後悔するのだ。
その方が暁は幸せになったのではないかと…」
「それは違います!」
暁は思わず叫んだ。
声を荒げることなど皆無な暁が叫んだことに、二人は思わず注視する。
「兄さん、僕は月城でなくては幸せにはなれないのです。
…いえ、月城といることが僕の幸せなのです。
月城が僕に相応しいかどうかではありません。…僕が月城に相応しいかどうか…それをいつも考えているのです…」
…あの氷の彫像のように美しく気高い男に自分は相応しい存在なのか…また、ずっと自分に繋ぎ止めておけるのか…
愛されていても不安になる。
…何かの影に怯えるように…月城の愛を確かめずにはいられない…。
こんな自分が情けない。

月城にも迷惑をかけてしまっている。
礼也の月城への不信感は暁の不安定さを案じたことに端を発しているからだ。
彼には何の落ち度もないのに…。
月城に済まないと思う…。
けれど、一度湧いた疑念はそう簡単には払拭できないのだ。
混乱している暁に光は優しく声をかけた。
「…暁さんは月城さんを愛しすぎているんだわ。そうして、ご自分の愛に窒息しそうになられている」
暁はそろそろと貌を上げた。
「…義姉さん…」
光はこの硝子細工のように脆く繊細な美しい義弟を慰撫するように見つめ、微笑った。
「…愛しすぎると真実の姿が見えにくくなってしまうのかもしれないわね」

礼也が不本意そうに言う。
「…君の私への愛は窒息するほどではないと?」
光は愛する夫に輝くような笑顔で答えた。
「私の愛は、貴方の周りに当たり前のように存在しているのよ」


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