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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第14章 Coda 〜last waltz〜
…何度愛し合ったのか…もはや数えることも野暮なほど、司の身体を需めた。
司はその楚々とした品の良い美貌とは裏腹に、性に関してはとても奔放だ。
泉が野獣のように需めても、しなやかに応じて甘い声を漏らし続ける。
…その司がさすがに最後の性交では
「…せん…もう…できない…む…り…」
と、泣いて首を振ったのだから相当な回数だったのだろう。

需めても需めても…その白く儚げな身体の奥深くに欲望の牡液を溢れるほどに注ぎ込んでも…司への欲望と執着は収まることはなかった。

…今までよく一年近くこの淫らで艶やかな身体を抱かずにいられたのか…。
泉には自分が信じられないほどだった。

「何を考えているの?」
眠っていたかと思っていた司が、泉の腕の中から尋ねた。
事後の司はため息を吐いてしまいそうになるほどに、しっとりとした妖艶な美しさを放っていた。

「…俺はよく司を抱かないで、一年もいられたな…て」
素直に漏らすと、彼はくすくすと可笑しそうに笑った。
「自分で言ったんだからね。…執事の制服を着ている間はしない…て」
亜麻色の髪が白い頬にかかり、絵画のような美しさだ。泉はその髪をかきあげてやりながら、そっと唇を重ねる。
「…俺は愚かだな」
「そうだね、バカだよね。あんなに気持ちいいことをしない…て、自分で決めつけるなんてさ」
くすくす笑いながらキスを受ける。
…その言葉にふと気になりキスを止め、真顔で尋ねる。
「…司…あのさ…この一年…俺以外とは…その…してないよな…?」
怒って否定するかと思った司は、意外にもその紅く濡れた唇で小さく笑った。
「…さあね。…だって別に僕は禁じられていないからね、セックス」
泉はがばりと起き上がり、司の肩を掴んだ。
「おい!司!」
焦る泉を尻目に、司は涼しげな貌で髪をかきあげる。
「…自分がしなけりゃ恋人もしないって決めつけるところが泉の図々しいところだよね。直した方がいいよ」
「おい!お前…」
司は美しい眉を顰め、むっとしたように口を尖らせる。
「ほら、それも!お前お前って…一回身体を許すとすぐこうなんだから。
…日本の男ってどうしてこうガサツなのかな。
…青山さんとは大違いだよ」
意外な名前が司の口から飛び出し、泉は険しい貌になる。
「…青山…?」







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