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第9章 シーン　9

「用意はできたかい？」
　髪をアップに結いあげていると後ろから大輔が声をかけて来た。
「髪を留めたら準備完了よ。」
「ドレスは？」
「高原さんがレストランに予約した際に着替えのための場所を取ってくれて、そこで着替える事になっているの。ローブデコルテのロングドレスで胸元と背中が大きく開いたセクシーなドレスよ。あたしがセクシーレッドで、美奈がディープブルーのお揃い。化粧もそれに合わせてルージュの色を選んだの。」
「変身に抜かりはないかい？」
「見て！あたしと分かる？」
　アップにミルキーブロンドに染めた髪をまとめ、顔の輪郭がはっきり出る髪型は小さめの顔がより小さく見える。普段のボブヘアーのウィッグで顔の輪郭が隠れた状態とは印象がまるで変わる。化粧も念入りにアイメイクを中心に仕上げた。眉を少し太めに描いてちょっと目じりの上がった大きな眼と合わせると、より小顔が強調される。カラーコンタクトで黒目がちの瞳はグレーが強く付け睫毛と太めのアイラインで大きく見える眼差しとマッチしてハーフのように見える。セクシーさをラメ入りのアイシャドーで更に魅惑的に見せるとそこに里菜の面影はかけらも存在していない。