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第9章 シーン　9

「じゃあ、頑張ってくるね。」
「うん、あまり硬く考えずに楽しんでこい。」

　あたしと美奈は高原さんから指定されたレストランがあるホテルのロビーで落ちあうと、レストランの入り口で着替えに使う場所を確認した。レストランの休憩室か何かを想像していたのだが、ホテルの宴会場の脇の結婚式の控室に使われる部屋に案内された。
「ここ花嫁なんかが着替えに使う控室じゃない？」
「そうよね、鏡も全身が映る大型の姿身だし、化粧を直すドレッシングスペースもあるし。」
　あたし達はそれぞれ新調したお揃いのドレスに着替えると、着ていた服を紙袋に入れ予約の時間丁度にレストランに戻った。フレンチのレストランの中は黒を基調とした重厚な色彩に統一されて高級そうな雰囲気に気後れしそうだった。スタッフに案内されて通された個室は一番奥まった場所にあって、テーブル席と壁際のカウンター席の間を抜けた所にドアがあった。
「こちらでございます。」