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 奴隷メイドオークション ~正しいメイドの育て方~
第10章  お披露目と不穏な動き


 愛さんが考え込んでしまった。
「色々な仕事を覚えたいんです。ご主人様のお呼びが無い時は……」
「解った。じゃあ来て」
 愛さんに着いて厨房へ向かう。丁度厨房から、大きな箱型のワゴンを押して梨香さんが出てきた。
「梨香。美桜が、食事配りをやりたいんだって」
 愛さんが言うと、梨香さんはワゴンから手を離す。
「30分くらい前からこの状態で厨房にあるから、運んで配るだけ。ワゴンは廊下の奥に置いて、適当な時間に、廊下に出てるのを集めて持ってくればいいの」
「はい」
 何かする事があった方が、気が紛れる。そう思って私は言い出した。それに、メイド本来の簡単な仕事から覚えたい。
「今日からやらせてください」
 食事を届けるということは、みんなの顔が見られる。夕食後にご主人様からの呼び出しは無いから、私は夕食の当番に加えて欲しいと2人に告げた。
「美桜がやりたいならいいけど……」
 愛さんも納得してくれる。
「でも。呼び出しとかで疲れた時は、ちゃんと言いに来てね。みんなそうしてるから」
「はい」
 2人には一度個室に戻ってもらい、私は思ったより軽いワゴンを押してみんなに夕食を配った。


 夕食後のワゴンを厨房に返してから個室に戻ろうとすると、そこにいたのは愛さん。
 愛さんが、私をジッと見つめる。
「美桜……。ううん。おやすみ」
「えっ? はい。おやすみなさい……」
 自分の個室に入ったけど、愛さんが何か言いたそうだったのが気になった。
 また、何かあるのだろうか……。
 でももう、何を悩んでも仕方ない。また別の儀式があったとしても、私は奴隷として応じるだけ。やり方があれば、ご主人様が教えてくれるはず。もう、諦めの心境。その方が楽になれる。
 この前娯楽室から持って来た本をベッドで読みながら、私はそのまま眠ってしまった。


 翌日は、私も朝食の配膳と片付けをする。
 配膳の後は、厨房の隅にある椅子に座って待つだけ。お呼びがかからなければ、片付けまでそのままお喋りをしている。
 片付けと言っても、食べ終えた皿を下げてシンクに入れるだけ。残り物がある場合は、横のゴミ箱に捨ててから。後は料理人の仕事だと聞かされていた。


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