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隠密の華
第9章 八

しかし――

「私の事を考えてくれて、ありがとう。でも私は、白夜と結婚する。それが自分の為なんだ」

両手で桐の胸を押し、桐から離れる。……一度決めた事を取り止めるなど出来ない。それに、

「やはり私は隠密だ。しぬまで隠密でいたい。国の為に結婚するなら本望」

「馬鹿都!だから、俺が嫌だって言ってんだろ!」

「桐、分かってくれ」

「嫌だ!都を困らせても、都を白夜のところに行かせたくない!」

隠密になった私の運命。こうして桐が再度私を抱き締め、止めてくれても気持ちは変わらない。

「桐、すまない……」

「都、結婚するって言うなら、俺をころして行けよ」

「……それは……」

「絶対に行かせない。もうお前をはなさない」

……しかし。ぎゅうっと強く抱き締められ、真剣に耳元で話されると。一瞬ドキッと鼓動が高鳴る。


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