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隠密の華
第10章 九

「よく戻って来てくれた。胡蝶。それに……胡蝶が我が妻になるとは……生きていて良かった……!」

水虎城へ到着したのは、我が国を出発してから二日後だった。門で私達を出迎えた時は険しい顔つきだった白夜も、設樂様から平和協約と、その代わり私と白夜が夫婦になる話を聞くと笑顔になった。

「白夜、では、平和協約を結ぶ事で、双国一致だな?」

「ああ。俺は賛成だ。今兵力も武器も尽きている。それに民達が平和を望んでいる」

「将軍は?」

「俺から話をつけよう。設樂、お前もついてこい」

門の前で私を抱き締めていた白夜は、設樂様に告げると城へ向かって歩き始める。

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