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隠密の華
第4章 三

「……何を言ってる?くっつくような間柄ではないだろ?」

「だから!お前も疎いな!男と女。二人で寝てたら、そういうことだろーが!」

「……そういうこと?」

……桐の言う意味が分からない。どうしたら、そういうことになるんだ?

「そこまで腐ってないんじゃなかったのか?それに私に手を出せば、設樂様から八つ裂きなんだろ?」

「それは、頭が近くにいたからだ。今は邪魔する奴が誰もいねぇ」

「まさか、桐……私を襲おうと?」

「襲うなんて人聞きが悪い!これは当然の事だ。俺はお前を護衛する。その見返りが何もないなら、俺が損するだけだろ?」

……こいつ、思っていたより屑だ。私の方へ伸びてくる桐の両手に目を見開きながら、私は鼓動を速める。そして――桐が私に覆い被さってくると、怒鳴った。

「こら、桐!」

「都、これから長旅だ。仲良くしような」

「降りろ!離れろ!この外道!」

……桐を護衛にしたのは間違いだった。こんな性欲しかない犬っころ、何の役にも立たない。


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