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隠密の華
第4章 三

……白夜に許嫁がいたとは、初めて聞く話だ。もしその娘が水虎国の人間で白夜と結婚したら……この密命も果たせなくなる。設樂様が果たそうとしている双国の平和が、叶えられなくなってしまう……。

「私もよくは知らないんだが。白夜と胡蝶は互いに惹かれ合い、結婚の約束をしていたと……二人が子供の頃の話だが」

「胡蝶という娘は、何処にいるのですか!?」

「……さあね。確か、火凰国へ追いやられたのではなかったか」

「追いやられた……?誰からですか?」

「将軍、白夜の父だ。将軍は二人の仲を反対していたと聞いた……胡蝶が元々火凰国の人間だからと」

紫水の話を聞きながら、鼓動が速まった。白夜の許嫁が火凰国にいるなんて。それに元々火凰国の人間だなんて。この事を早く設樂様に伝えなければ。そして胡蝶を探し、再び白夜に会わせる――


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