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隠密の華
第8章 七

「……ンッ……やめ……白夜……」

桐の顔が一向に頭から離れない。こうして城へ戻り、白夜から仕置きをされていても。私から目をそらした桐の光景が、何度も頭に浮かび上がる。

「胡蝶……何故急に出て行く。俺が嫌いになったのか?」

「……違います……だから、口付けを……やめて下さい……」

白夜の部屋の寝台に寝かされ、私に覆い被さった白夜から、顔や首、耳、鎖骨、手の先、掌と隅々に口付けられながら、私は身悶えた。

「駄目です……本当に、もう……」

休む暇のない口付けに、おかしくなりそうだ。鼓動を高鳴らせながら、今している反応が胡蝶でいる私の反応なのか、私自身の反応なのか分からなくなる。

「白夜……もう、勝手に城を出て行かないから……許して……」

涙を目に滲ませながら頼むと、無表情な白夜の顔を見つめる。すると白夜は、冷淡に返事をした。

「胡蝶、では……着物を脱ぐなら許してやる」

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