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第10章 執着

これまでに何度か、お客様にご奉仕をした。ご主人様とお客様、お二人に抱かれる。リピートになるとお客様だけにご奉仕することもあると律子達から聞いてはいるが、今のところはそれはない。

お戻りを告げる鈴の音にロビーに向かう。

「涼子、今日はよろしくね」
「はい、よろしくお願いします…って、え？」

よろしく？

「あれ？涼子まさか聞いてないの？」
「やだ。櫻井さんたら」
「わざとでございます。気負われたらいけませんので」
「ど、どういうことですか！？」

慌てて確認しようとした矢先にご主人様がお帰りになられた。旦那様と…8名のお客様。

8名！？

「今日は乱行パーティディとなっております」

小声で櫻井が涼子に囁く。

らんこう…らんこう？

目を見開き、恐る恐る振り向いた涼子に櫻井は何食わぬ顔で頷く。

「明日は休みです」

頑張ってください、と言った。