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愛のシンフォニー
第6章 ミキティ
「楽しかったね。晩御飯どこかで食べて行こうか。何がいい?」

「とくちゃんにお任せするわ。食事の後は・・抱いてくれる?」

美樹は甘えた声を出して徳造と腕を組む。
徳造は優しく頷いた。

美樹が好きだ、美樹が欲しい。
おカネのためでもなく、性欲を満たすだけでもない。愛している恋人ともっと愛し合いたい。お互いの愛を感じ合いたい。
こんな気持ちで女のコを抱くのは初めてだ。
これが本当のセックス。お互いの愛をもっと感じ合うために裸になって抱き合うことは美しいことで、気高くさえあると徳造は思った。

おカネのために女に買われていた今までのセックスは汚くて醜いまがいもののセックスだと思う。

「予算オーバーしてホテル代なくならないようにしてよね。きゃはは」

美樹はふざけたように言うが、これは大切なことである。初めて美樹と結ばれるんだからキレイで、お洒落で、どこかメルヘンなホテルに入りたい。

予算の範囲内で、お洒落で、美味しくて、演者としての徳造の客がいない店を少ない知識をフル検索して探してみる。

徳造はよい店を思いついた。チェーン店ではあるが、カフェテラス風の小洒落た店で、料理も美味しくてリーズナブルなコースメニューもある居酒屋だ。
最近の居酒屋は2名から個室で飲めるのもおいしいポイントである。
2人きりの空間で素敵な時間を過ごせるから・・

「いいね、そこ。そこにしようよ」

美樹は徳造の提案した店が気に入ったみたいで大はしゃぎで店に向かおうとするが・・

「でも、そんな素敵なお店をどうして知ってるの?誰と行ったのよ?」

徳造が他の女の人と一緒に行ったことがあるから知ってる店だと疑って美樹は少し妬き餅を焼く。
その頬をぷっと膨らませた顔も可愛い。

「違うよ。昔ちょっとアルバイトをしてたのを思い出して・・」

徳造が言っているのは本当のことだった。
そもそも美樹とのデートに使うのに他の女の人と行った店になんて行くわけもない。他の女の人といってもカネで徳造を買った年増女や風俗女しかいないが・・。
そんな女と行った店では彼女たちに遭遇する危険性も高いし、カネにモノを言わせる女の行く店だからリーズナブルというわけにもいかない。

「本当に本当?」

「本当に本当」

徳造は美樹の質問におうむ返しで答えた。
ふたりは顔を見合わせて笑い合った。

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