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愛のシンフォニー
第8章 ラブソング
その儚げで、意地らしくて、哀しげで、可弱くて、愛らしい涙を拭ってあげると徳造はギュッと美樹を抱きしめた。

「とくちゃんは優しいね・・こんなあたしのことキライじゃないの?イヤじゃないの」

美樹はギュッとしてくれる徳造の腕に身を任せながら震える声で言った。
この優しいぬくもりが同情や憐れみによるものならいらない・・いや、愛でなかったとしてもずっとこのぬくもりの中で微睡んでいたい・・でも、愛じゃないなら徳造に対して申し訳ない。

「確かに君の秘密を知った時はショックだった。でも、君の本当の姿がどうであれ僕は君を愛してる。一緒にいれば嬉しいし、いなくなれば寂しい・・君が笑えば僕も幸せだし、君が泣けば僕も悲しい・・ずっとずっと僕の側で笑っていてほしい」

「ありがとう、とくちゃん」

美樹は徳造の腕の中でもっとピッタリと体を密着させる。徳造もまた美樹の温もりを、暖かくて柔らかい胸の感触を感じてもっと強く美樹を抱きしめる。

「あたしね、創られた存在だけど、ひとつだけ幸せなことがあるの。とくちゃんのために創られたからとくちゃんに出会えて、こうしてとくちゃんと一緒にいられること」

「そうか、そうだよね。僕のために創られたんじゃなければこうして一緒にいられることもなかったんだ。今でも見知らぬ他人のままだった。そう考えるとファントムに感謝しなければね・・でも、奴等はなんで僕の種が必要なのかな?」

「ごめんね、あたしそこまでは分からない・・」

「いいんだよ。君はこうしてここにいるんだし、奴等ももう襲ってはこないだろう」

このふたりだけの時間がいつまでも続けばいいとふたりは同じことを考えていた。
このふたりだけの時間が壊されるのがたまらなく恐い、恐ろしい。

徳造が奴等はもう襲ってこないと言ったのは何の根拠もない気休めに過ぎないのかも知れない。いや、根拠があるとすれば、そうなるといい、そうであってほしいというふたりの切なる願いなのだろうか。

奴等には二度と会いたくないと強く思う反面、徳造はファントムにどこかで会ったような気がする。あんな恐ろしい者に会ったのであれば忘れるはずがないのに思い出せない。恐ろしさのあまり記憶が麻痺しているのか?

徳造の頭の中に今まで封印していた記憶のピースが突如降って沸いたようにフラッシュバックした。
それは苛められている自分・・。



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