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女王のレッスン
第5章 ■努力のタマモノ

「繋がったか?」
「うん。外れない」
「それが足し縄。緊縛していく過程で長さが必要なら足せばいい」

カナちゃんの背中の三点留めに継ぎ足した7mを手中に収め、瑛二さんの説明を聞く。
隣にはこのお店のS嬢、真琴さんと、もうひとりのM嬢、小春さんが同じように講習に参加していた。

「10mとか使うこともあるが扱いが難しい。吊りを行うなら本数もいる。少ないと当然負荷が高いしな」
「こないだ結衣子さんにやった時何本使ったの?」
「全部で8本。上半身で3、吊りに3、足に2。荷重を考えたらもう少し少なくてもいいけど、跡残り過ぎたら困るって煩せえんだ」
「あら、煩いとは結構な言い草ね」

カウンターの方で道具の手入れをしていた結衣子さんも会話に混ざる。吹き出した稜くんの息も聞こえた。

「……つまり体型も含めた相手の事情とか好みにも寄るってことだな。じゃあ続きしようか」

久し振りの緊縛講習は8 Knotのステージで行われている。
緊縛相手や吊床が必要なのと、緊縛している所というのは人目を引くそうだ。
講習がそのままショーになる。雨降りなのもあってかまだお客さんは来ていないけど、多少緊張感があった。
胸の下を通す上、首から降りてきた縄が胸をV字に分断するから胸が綺麗に誇張される。
腕に通す縄には閂と呼ばれるストッパーの役割を持つ技法も入り、見た目が華やかになって昂揚感があった。

「繋ぎ方と留めと、ずらしたくないなら閂をしっかりしておけば後は基本と応用の繰り返し。手法はあれど正解はない。相手が気持ちいいことが一番だな」
「千堂さん。この先は?」
「見るよ」

自分でも味わったことを今度は人にする。
カナちゃんに何度も『痛くない?』とか『大丈夫?』とか繰り返して、形になる頃にはやっぱりひと汗かいていた。


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