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毒蜜喰らわば
第12章 イタコの孫が見通した、愛・・

少しの沈黙の後、再び雅斗が話を始めた。

「ここが恋願神社って呼ばれるようになったのはこの祠ができた後なんだって。
 それまでは濃音神社って名前だったのが、遊女たちがお参りに来ては
 恋を願った事から恋願神社って呼ばれるようになったっていう説もあるらしいんだ」

「そうだったの・・」

私は夢で見たあの祠を前にしてゆっくりとしゃがみ、手を合わせた。
そして、小さな鈴がたくさんついた鈴緒を揺らした。
細やかな音色が私達を取り巻くように響き渡った。

「私がこの祠を見たのは・・夢の中でなの」

「え・・夢?」

里佳子の突き抜けるような驚きの声と頭上のカラスの鳴き声が重なった。

「そう、夢・・咲枝とお参りに来たその夜、夢を見たのよ。
 神社にお参りしている夢。
 私には見えていたこの祠を咲枝は見えないって言って。
 私だけがお参りするって言って鈴を鳴らそうとした時、誰かの、
 男の人らしき手が重なって・・
 顔がぼんやりと見えそうになったところで目が覚めたの」
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