この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
毒蜜喰らわば
第12章 イタコの孫が見通した、愛・・
そう言ってからすすったコーヒーは、すっかり冷めてぬるくなっている。
みんなもつられるようにしてコーヒーをすする。
藍色に染まりつつある空の下で私は、遊女と若侍に別れを告げる。

さようなら、私はあなたたちの願いを叶えられない、静かに眠ってください。

横で呟きを聞いていた雅斗が、なにかを口の中で唱え始めた。
なんと言っているのかわからないが、たぶんお経かなにかだ。
手を合わせて目を閉じ唱え続ける雅斗の横で私も、そして里佳子と進も、
外灯のともった蛍庭園で手を合わせた。


秋深い夕暮は暗くなるのが早い。
ほんの何分かの間にさらに空の色は濃くなっていた。

「今日は私のためにありがとうございました。
 堀内さん、現実に引き戻してくれてありがとう。
 里佳子、進さん、付き添って見届けてくれてありがとう」

みんながカラにした紙コップを集めている里佳子は、少し涙目になっていた。

「美智・・ウチで堀内さんと出会ってよかったね。
 これもきっと恋願神社のお導きなのかもしれないよ。だって、イタコの孫なんて
 そうそう出会わないからね」

「ほんとね、里佳子の言う通りだわ。みなさん、今日はお世話になったので
 この後の食事は私におごらせて。さ、行きましょ」

お~!やったぁ!と歓喜の声と共に立ち上がる3人を引き連れるようにして、
蛍庭園をあとにする。

遊歩道から大通りに出るところで私は庭園を振り返ってみた。
もしかしたら遊女が見ているんじゃないか・・だけど・・
私には彼女の姿は見えなかった。
それでいい、それで。
霊の姿は見えない方がいい・・




/156ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ