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毒蜜喰らわば
第8章 禁断の扉が開いた・・



庭園近くの細い路地を入ってすぐに、こじんまりとした
イタリアンレストランを見つけた。
小さいながらもにぎやかで、周りの笑い声に隠れるようにして
私達は恋人同士のようにふるまった。
まだそれほど互いの事を知らないのに。

「なんだかね、楠木さんとはずっと前から知り合いみたいに思えてならないの。
 この前あの蛍庭園でベンチに座っていた時もね、こんな場面を見た事があるって。
 デジャブって知ってるでしょう?」

「うん、前にもこんな場面があったよなっていうあれでしょう?
 僕もこの前、隣りに座る稲村さんの横顔をずっと前に見ていた気がしてさ。
 でもあなたとの接点はこれまでないはずだし・・不思議だよね」

彼の言う通り、本当に不思議だ。

茂と出会った事はただの偶然。
仕事の中でのめぐり合わせ、それだけのことだが、
私にはどうしてもただの偶然とは思いえない。
いや、思いたくないというのが正しい言い方かもしれない。
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