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第4章 湯布院温泉

「どうぞ」

　彼女が茶托に乗せた湯飲みを差し出したので、一息着こうとお茶をいただくことにした。

「それで？」
「それで？」彼女の問いかけに戸惑い、おうむ返しに聞いてしまった。

「こんなすてきな旅館よく知ってたね。誰かかから教えてもらったの？」

　彼女は煎餅の封をピリピリと開けながらにこやかに聞いてきた。

「いや、自分で調べたよ」急な質問に心拍数があがっている自分がいた。
さらになんとも気の利かない返事しか出てこない。

「そっか」それでも彼女は返事をした。