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ヒ ミ ツ に し よ う ね ?
第1章 瀬ノ尾まりあ
学校にひとりはいる頭脳明晰の美少女。


瀬ノ尾まりあはまさしくそんな子だった。


たくさんの習い事を学び


蝶よ花よ


たおやかに育てられた。


生徒達は皆


彼女に夢中だった。


毎日のように告白を受け



断っていた。


理由は


好きな人がいるから



その相手は……。








「瀬ノ尾さん。もうすぐ卒業だけど進路はまだ決まらないのかい?」






担任の先生。






「はい……やってみたいことが、たくさんあって……」

「君みたいな優秀な成績の子、進学校に進むべきだと思うけどなぁ」

「でも先生みたいに、音楽の学校で、きちんとピアノを習いたい気持ちもあるんです」

「そう言ってくれるのは嬉しいけど、僕は頭悪かったからそっちの道に進むしか出来なかっただけだよ。それに……」



まりあの担任の先生……


金澤勇気


彼は新米の教師だ。


今年音大を卒業して地元の中学に赴任した。


自分では才能があったと思っていたピアノの夢


破れた結果でもあった。


それでも教師になって初めての冬休み


こうして優秀な生徒の悩みを聞きに


休み返上で


仕事するのも


嫌いじゃないと感じ始めていた。


「結局僕はこうして学校の先生をやってる。誰もがプロになれる世界でもないんだよ?あ、これは瀬ノ尾さんに才能がないってことじゃなくてね!」

「うふふ。分かってますよ」


まりあは勇気の慌てように


くすくす


手を口に当てて笑った。


花が咲いたような笑顔


勇気はときたま目が奪われる。





聖職者が何考えてるんだ!




勇気はいつも自分の雄を心で殴り倒していた。
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