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甘い時間は2人きりで
第4章 気持ちよくなって:勉強編

パンチが伊藤さんのこめかみに刺さり、こめかみを押さえたまま蹲った。

「長野さん!」

騒ぎにようやく気付いた皆がこちらに駆け付けた。
だけど、私は怖くなりその場から走り出した。

「先輩!!」

ある程度走った所で、電話が掛かった。

「茜さん、もう終わった?」

いつもはこの声を聞けば気分が落ち着くのに…

「ごめんなさい…体調が良くないから今日は帰るね」
「え、俺の部屋で休んだらええやん」
「今は1人になりたいの…ごめんね」
「あ、茜さん…」

電話を切り、近くにあったベンチに力無く座った。

大切な彼を守る為に付いた嘘で、私を好きだと言ってくれた人を深く傷つけてしまった…
そして、怒りに任せて唇を奪われて、彼に顔向け出来ないことをされてしまった。

涙が溜まって、アスファルトに黒い染みが出来ていく。
私に泣く権利なんて無いのに…



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