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堕天使 1st gig.
第3章 現場
現場に移動する間に宗司は更に俺に必要と思われる補足説明を言って来る。

『中継局は本来、夜間は無人になるのですが、夜間警備が襲撃犯を確認、いち早く逃げて通報した為、今回の事件が早急に発覚した模様。』

つまり、中継局だけは人質が無しか…。

俺は宗司の説明で3箇所に分散された現場の全体の状況を把握する。爆発物を腹に巻いた奴が同時に3箇所を襲い、ネット上で要求が同時にアップされた。

いち早く軍と政府はそれをテロと断定した為、俺らは緊急出動を余儀なくされた。その為の対テロ特殊部隊なのは誰もがわかってはいるのだが、落ち着かないチャラ男の雄太が

『俺とハヤトは飯を食ってる最中だったのに!』

と叫びやがる。苛立っていた俺は雄太に

『うるせぇ、俺は飯食う寸前だったんだよ!』

と怒鳴り返してやる。雄太のバディの涼宮が俺を見て

『それはそれは…。』

と同情を顔に浮かべていた。生真面目な涼宮はαじゃ唯一の所帯持ちだ。涼宮が初めて俺のところに配属の挨拶に来た時、俺はやたらと落ち着いて生真面目に見える涼宮に

『所帯持ちなら後方支援を希望しないのか?』

と聞いていた。涼宮はしっかりと父親の顔をして

『自分は子供に逃げる姿を見せる気はありません。』

と見た目通りに真面目に答えていた。その時の涼宮の気持ちや考えは俺には理解が出来なかった。だが、今はその父親としての涼宮の強さが羨ましいとか俺は初めて思っていた。

家族の為に絶対に生きて帰る…

常に何事にも真面目な涼宮は必ずそれを考えているはずだ。俺はリナの為に、その涼宮と同じ事をやり通さなければならないんだと改めて思わされていた。

現場に着くと既に所轄が仮設本部を設置しており、付近の住民の退避、封鎖をやっている状況だった。俺はその仮設本部に入りながら

『状況報告!』

と叫ぶように言ってやる。所轄の現場トップらしき奴が露骨にホッとした顔を見せ俺の前にやって来た。

テロと断定された今、軍が出動すれば管轄はほぼ自動的に軍に以降する。爆弾魔相手に喜んで戦いたがる人間はまずは居ないから、所轄はさっさと軍に現場を引渡したいのが本音だった。
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