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堕天使 1st gig.
第30章 レセプション
美優はその部屋の隣に設置された託児所に預けられる事になるらしい。

俺は高橋と

『んじゃ、レセプションで。』

と言って別れ、自分の部屋でシャワーを済ませ、新しいシャツに着替えて再び制服に着替えていた。

レセプションは要するに演習成功を祈る景気付けのパーティだ。これも指揮官だけの出席で俺にはやりたくないスケジュールの1つだった。

前の演習では俺は分隊長だから、こういうスケジュールはなかったが、今回は余計なスケジュールが多くて俺はため息をつきたくなっていた。

兵舎を出ると無事にリナ達を移動させた宗司が軍のジープで俺を迎えに来ていた。運転する宗司が

『帰りはどうされますか?』

と聞いて来るから俺は

『帰りはいい…、歩いても大した距離じゃない。』

と答えていた。実際、大袈裟にジープで移動するような距離ではないが、日本の軍人として見栄を張る為だけにこういう移動を繰り返す。

それは、各指揮官の副官の負担であり、俺はそういうのが嫌いな人間だった。

顔だけ出したら帰ろう…

とか思いながらレセプションがあるホテルに入り、レセプションの会場前に俺は向かっていた。

リナとは入り口で待ち合わせだ。時計を見てなかなか来ないリナに

まだかよ…

と苛立って来た頃、俺の背後から

『ごめんなさい、なんか歩き慣れなくて…。』

とリナの声がした。

遅せぇよ…

そう言いかけて言えなかった。銀の髪をきっちり結い上げて落ち着いた藤色の着物を着て、頬をピンクに染めたリナがまるで別人でかなり俺好みの女になっていたからだった。

正直、如何にもお淑やかな大和撫子な女が俺は結構好みだ。だけど大人しいだけの女は俺みたいな男とは口すら聞く事がなく、可愛いけど仔犬みたいにキャンキャン吠えるリナみたいな女が俺には向いてるとか俺は思っていた。

だけど…、今のリナはある意味エキゾチックで、だが落ち着いた控えめな女に変わっていた。

唖然として何も言えない俺にリナが少し不安な顔で

『似合わない?』

と聞いていた。
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